「もしもしー、お宅のお子さん、幼稚園で2回くしゃみしたので、病院に連れて行ってください」
そんな電話がかかってきたら、いくらコロナ禍といえども、「キャー、うそでしょう?」とドン引きしてしまいます。しかし、これは幼稚園のママ友に実際かかってきた電話です。
そんな軽度の症状で、PCR検査を受けさせようという小児科医はおらず、それでも「コロナウイルスの感染ではない」という証明がなければ、場合によっては学級閉鎖されるので、親たちはとても神経質になっています。
鼻水、くしゃみ、せき、発熱といった冬にありがちな症状が出た場合、小児科医は「まずは様子をみましょう」というのがおおかたで、誠に真っ当な意見です。コロナ禍でなければ、回復するまで休ませて、ひどくなれば検査をうけさせれば良いですが、対面授業を続けるために厳しい規則がいくつもあります。
鼻水、くしゃみ、せき、発熱などの症状が出た場合は「新型コロナウイルスの感染ではない」との証明を出さなければ、幼稚園、学校のグループは隔離となり、登園、登校できません。
検査をしなければ陰性かどうかは分かりませんから、医師も診察しただけで、「新型コロナウイルスの感染ではありません」という証明書は出せません。学校に通わせる親に残る選択肢は、PCR検査で陰性という証明を出すことです。もちろん、検査を受けて陽性の可能性もありますが。
学級閉鎖されると、対面での学びの機会が失われることや、子どもが預けられず、仕事に行けないといった不都合が生じます。風邪の症状が出て学級閉鎖になると「ウチの子の鼻水のせいで、学級閉鎖してすみません」といった気持ちになるのは、アルゼンチン人の親も同じようです。
我が家でも子どもが、せきをした、くしゃみをしたといった症状に、敏感になってしまいます。ちょっとむせただけ、偶然出ただけと知って安心しましたが、親たちはとても神経質になっています。
もちろん、
医療崩壊するよりはいいけれど、
感染者や亡くなる方が増えるよりはいいけれど、
昨年のようにオンライン授業のみよりはいいけれど、
「もっと心穏やかに過ごさせてー!」と思ってしまいます。
結局、くしゃみを2回した子どもはPCR検査を受けるに行くも、「ここで子どもは受けられない」と言われ翌日、別の医療機関に連れて行き、陰性で「良かった!」と喜んだのもつかの間。「医師からの治癒証明がないと、登園できません」という幼稚園側の連絡に、ママ友は治癒証明書を入手すべく、気の毒にもまた奔走したのでした。